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白い小悪魔は誰のもの?~Another story~

第7章 ★溢れる思い(氷室)★





〔白崎零蘭〕

辰也が完全に眠ったのを確認すると、彼の腕の中からモゾモゾと抜け出す

俯せの彼の体を横にして、部屋から掛け布団を上からかけてやる。先程よりも少しは穏やかな顔になった彼に安心して、そっと髪を撫でる

少し強引なやり口だったけど、これぐらいがちょうど良い対処だった

あのままの彼を放っておけば心が壊れてしまったかもしれない。あの人ほど繊細な心の持ち主はいないから



恐らく彼が抱えているのは大我への嫉妬心



薄々とは気づいていた。自分より遅く始めたのにいつの間にか追い越されている焦り、プライド。そこに私と言う存在が加わって更に彼を歪ませた

私は結局関わった全ての人の運命を壊す事しかできない...

なんて醜い...穢れてる...そんな私が美しい彼等に触れるなんて本当は許されることじゃないのに

ごめんなさい、こんな私で....

許してなんて言わないから...お願いだから、私を捨てないで






〔氷室辰也〕


目が覚めると美味しそうな匂いが漂っていることに気がついた

体を起こすと同時に、彼女が料理を持って近づいてきた

『おはよう辰也、よく眠れた?』

氷室『あぁ。おかげで体がスッキリしたよ。それにしても良い匂いだね』

『お腹空いたと思って。ちょうど夕飯の時間だし、一緒に食べよう?』

氷室『勿論さ。君の料理は格別だからね』

『えへへ、でも辰也の方が上手だよ』

照れくさそうに頬を染めながらテーブルに料理を置くと、俺の額にキスをした

『さ、座って?』

氷室『分かったよ』

俺は彼女に促されるまま椅子に座り、次々と夕飯の準備をする彼女の背中を見つめた




眠る直前に言っていた通り、家族には連絡は済んでいたようで、外泊もあっさり許可された。俺が寝ている間に着替え諸々持ってきてくれたようだ

入浴も済ませ、後は寝るだけ。さっき寝たばかりなのに、眠気がなくなることはなかった

だけど、先程の睡眠で心が軽くなったような気がした。いや、彼女に触れてからだ。自分が満たされていくのを感じながら寝た後は、こんなにも晴れやかになるものなのか

『辰也、寝よ?』

氷室『一緒のベッドでも?』

『当たり前でしょ』

おいで、と手招きする彼女に引き寄せられるように、俺はベッドに潜り込むと、彼女を抱き締めるように寝転んだ


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