白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第7章 ★溢れる思い(氷室)★
そうじゃないんだ....俺は、このどす黒く汚れた感情で押し潰されそうなんだ
今すぐにでも君をどうにかしてしまいそうな程に...
なんて言えるはずもなく俺は感情を彼女に悟られまいと笑顔を見せる
氷室『でも大丈夫だよ。些細なことだから』
こんな醜い感情にまみれた俺を知られたくない
そんなことを思いながら、気がつけば彼女の家の前まで来ていた
『送ってくれてありがとう♪』
氷室『当然の事をしただけだよ。君に何かあったら気が気じゃないからね』
今日はもう早く帰ってしまおう...彼女を見ていると自分の中の何かが弾け飛んでしまうような気がする
氷室『じゃあまたね』
そう言って足早に去っていこうとしたその時、突然腕を強く引かれ引き留められた
氷室『レイラ...?』
『辰也、家上がって』
氷室『でも、』
『いいから』
有無を言わさない女王の瞳。この瞳の前では逆らうことなんて出来ない
俺は言われるままに、彼女の家の中へと入っていった
『何を悩んでいるの?』
氷室『....』
ソファーへと座らされ、彼女が出してくれたコーヒーに口をつけると、唐突に質問された
『今日の、いいえ。出会ったときから何か引っ掛かってたのよ。貴方は心の奥どこかで抱え込んでる。私と関係を持った日から更にそれが分かりやすくなった』
見抜かれている....女王の瞳は誤魔化せないな
『教えて?貴方は何に苦しんでいるの?』
氷室『......』
『...言わないつもりね、分かった。ならせめて今だけでも』
だんまりを決め込む俺の腕にそっと自身の腕を絡ませ、そっと寄りかかられる
『私に貴方を癒させて....』
氷室『レイラ....』
温かいな....愛しい人の温もり、仄かに香る花の匂い
その瞬間胸の痛みが和らいでいっているような気がした
氷室『レイラ、キスしてもいいかな?』
『いいよ、いっぱいして』
腕をほどき、彼女をそっと押し倒すと、朝の続きのようなキスをする
甘くて蕩けていきそうな感触に夢中になって貪った
レイラは少し苦しげに声を漏らすが、俺の背中に手を回すだけで、ただ俺に身を委ねている
氷室『っは...無防備...』