白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第7章 ★溢れる思い(氷室)★
気を使わせてしまったかもしれないな....
火神『んじゃ、俺達も帰ろうぜ!』
氷室『あぁ、そうだね』
?『じゃあな三人とも~!』
?『また連絡するぜ!』
『うん!またね!』
氷室『あ、すまない二人ともコートに忘れ物したみたいだから取りに行ってくる』
『分かった、大我と待ってる』
氷室『すぐ戻るよ』
俺は二人に背を向けると、来た道へと走って戻りコートに置き忘れた物を取りに帰った
忘れ物はすぐに見つかり、鞄にしまうとすぐにまた二人の待つ場所へと走った
確かこの角を曲がった先に
火神『零蘭...』
『なぁに?大我』
火神『俺はもっと強くなる。春から日本でプレーすることになるから、それまでに俺は今以上に強くなってやる』
『そう...大我は伸び代があるから、とても期待してるわ♪』
火神『零蘭も高校は日本だろ?どこの高校か教えてくれねぇーけど。でもバスケは続けるって言ってたから....だったら、これからもっと俺を見ててくれ』
『貴方と違う学校かもしれないわよ?』
火神『それでもだ。俺はお前に見てて欲しいんだ。お前を、愛してるから...』
『大我....』
なんてタイミングの悪い....胸の痛みがより強くなってきた
おかげで角に身を潜めたまま行けなくなったじゃないか....
火神『零蘭、好きだ...』
『ありがと...私も貴方が好きよ大我』
恐らく二人は抱き合っているんだろう
あぁ...苦しい
『あ、辰也!お帰り♪』
氷室『ただいま』
結局少し時間をおいて、二人が離れたであろうタイミングを見計らってようやく出てこれた
火神『じゃあ俺はこっちだから!またな二人とも』
『うん、またね』
氷室『じゃあなタイガ』
タイガと別れ、二人で夕暮れに染まる路地を歩く。人通りが少なくと普通は危険だろうが、この近辺は俺の知り合いも多い。治安は他よりは良いはずだ
だが今の俺の心はここの治安云々ではなく、ただただタイガへの嫉妬だけだった
『辰也?』
氷室『あ、あぁ...なんだい?』
『やっぱり変、今日の辰也は変だわ。ごめんなさい、疲れさせちゃって』
氷室『いや、確かに今日はとても疲れたけど、そうじゃない...』