白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第7章 ★溢れる思い(氷室)★
火神『別に良いじゃねぇか。みんなも俺も気にしてねぇし、それより早くやろーぜ』
『....うん。よし!今日はいつも以上に張り切ってやる!!』
?『うぇっ!レイラがいつも以上に張り切ると俺らやべぇじゃん!?』
氷室『なら、俺達もレイラばかりに点を取られないように頑張らないとな』
火神『だな!』
俺達は笑い合いながら、試合の準備を始めた
『つ...疲れたぁ...』
力を使い果たしたレイラはベンチに仰向けに寝転がり、『あ"ぁ~』と死にかけの声をあげている
氷室『お疲れ様。いつになくFeverしていたね?おかげで俺達もヘトヘトだよ』
座り込む俺と、隣のベンチに座るタイガ。それ以外のメンバーはコートに散らばってまるで死体のように倒れている
『張り切るって言ったでしょ?でも今日はちょっと飛ばしすぎちゃった....』
息を乱しながら、汗ばんだ額を手の甲で拭う
その姿が一瞬事後のように見えて、顔が熱くなるのを感じた
氷室『ほら、これで汗を拭いて?』
『ありがと辰也』
氷室『レイラはやっぱり強いな』
『何言ってるの?辰也だって強いよ。特にフェイクが上手だし、何度も抜かれちゃった』
氷室『俺もいつまでも負けてられないからな』
『そうだね。にしても、大我もとっても強くなったわ。日に日に成長していってる』
火神『零蘭にもアドバイス貰ってるしな!だけど俺はもっと強くなってやる!二人を越えるぐらいにな!』
氷室『....』
胸が....痛いな
タイガは日を追う毎に実力が上がってきている。もう俺を越しているだろう
そんなあいつに自分を越えるほど強くなる、なんて言われたんだ。今より強くなられたら、もう兄なんて名乗れない
それに、愛しいレイラの視線もあいつのものになってしまう....弱い奴より強い奴の方が彼女も好きだろう
でも、そうなったら...俺は...俺は
『辰也?大丈夫?』
氷室『っ...!あ、ごめん。大丈夫だよ』
『さすがに辰也も疲れちゃったよね。よし、今日はお仕舞いにしてみんな家でゆっくりしよっか!』
心配そうに俺を見つめた後、ベンチから立ち上がりコートの死体達へと呼び掛ける
その呼び掛けにみんなもヘロヘロな声だが返事をして、それぞれ荷物を纏め始めた