白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第4章 ★「待て」だけじゃ(黄瀬)★
『とても良いです。チームの仲は緩過ぎず厳し過ぎでもない。笠松さんという存在がよく生きてる。彼は司令塔として主将として、チームに渇を入れ導き、主将としての自覚と責任を目に見える形で示す。真っ直ぐ相手と向き合う彼だからこそ海常のみんなは安心して着いて行く』
視線の先には、仲間に指示を飛ばしながらボールを運んでいく笠松さん。言葉は強いがそれも仲間を想ってこそ、信じているからこそだ。
主将として、本当に凄い人だ
『涼太がここに来て良かった。ここなら、涼太を最大限生かしてくれる』
武内『随分買ってくれているようだな』
『だからと言って、手加減はしません』
武内『それはこちらもだ。今度あたる時は、必ずウチが勝つ』
あっという間に部活の時間は終わりを迎え、最後にみんなに挨拶をした後、敵に塩を送るのは分かってるけど、お礼のつもりとして一人一人にアドバイスを書いたメモを渡した。
お節介かな?と思ったけど、みんな目を輝かせて感嘆の声と感謝の声をかけてくれた。
後片付けもさせてもらい、今は涼太と一緒に駅へ向かうため人気のない川原を歩いている。
黄瀬『今日は本当にありがとうっす!零蘭っちがいてくれて助かったっすよ!』
『私こそありがとう、良いものを見せてもらったわ』
互いに手を繋ぎ、夕焼けを眺めながらゆっくり歩いていく。段々と駅が近づいてくるけど、久しぶりに会えたらやっぱり離れがたくなってしまう。
困らせてしまうのは分かってる、でも
足を止めると、自然と繋がれた手が引く形になり、いきなり止まった私に驚いた彼がこちらを振り向く。
『涼太...』
黄瀬『なんすか?』
『ワガママ言ってもいい?』
黄瀬『良いっすよ♪』
『もうちょっと、一緒にいたい...涼太とまだ離れたくない』
黄瀬『!!!』
鮮やかな黄色の瞳が驚愕に揺れる。繋いだ手を少し強く握れば、同じ力で握り返され、次の瞬間には彼の腕の中にいた。
黄瀬『こっちからお願いしようと思ったのに。カッコつかないっすね...俺もまだ帰したくないし帰せない』
少し離れ見上げると夕焼けに照らされた彼はいつもより更にカッコよくて見惚れてしまう。
『ぁ....綺麗』
黄瀬『零蘭っちこそ....』