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白い小悪魔は誰のもの?~Another story~

第3章 ★君がために(赤司)★





部活勧誘の嵐を抜けて....おっと、バスケ部に寄るのだけは忘れないようにしないと。彼女もまだバスケをやっているだろうか....



帝光中の入学式では、新入生挨拶として男女一人ずつ選抜されるらしい。その中の一人は俺だ。選抜された二人は新入生の名前順とは外れ、強制的に隣同士で座らされる。何とも変わった、と言えばそれまでだが、確かにバラバラで動くより事が早く済む



そんなことを考えながら、指定された席につくと、隣に誰かが座る気配がした



たしかそこは新入生挨拶の席...一応挨拶をしておこう



と思いながら隣を見ると、ずっと会いたくて仕方なかった彼女が座っていた。あの日から少し大人びた姿に目を奪われた。声をかけたいのに余りの衝撃に言葉がでなかった


すると、そんな俺に気づいた彼女がこちらを向いた



『どうしたの?』



赤司『あ、いや...ただ、君が余りにも綺麗だから見つめてしまった...気を悪くしたなら謝る』



『...ふふっ、そんなことない。ありがとう、嬉しい』



本当に綺麗になった....だがその楽しげに細める二つの夕焼けは変わらない。俺の恋する夕焼けのままだ



このまま惚けてしまいそうな自分を律しながら、俺は彼女に向き直った



赤司『君、零蘭だよね....覚えているかな?』



この後彼女が微笑んでくれることを期待しながら聞いた俺の思いは儚く散った



この世界は思ったよりも残酷だった















『えっと....ごめんなさい。貴方の事、知らないの』













時が止まったように呼吸すら忘れそうだった



彼女が、俺を、覚えていない.....?



固まる俺に申し訳なさそうに俯く彼女は再び口を開いた



『本当にごめんなさい。私実は少し前に両親が亡くなって...そのショックが大きすぎたのか、それより前の事余り覚えてないの』


あぁ...そうか、あの後彼女は記憶が抜けてしまったのか。悔しくて悲しいが、何故か納得できてしまった。彼女は両親を愛していた...逆も然りだ。ショックが大きくて当たり前だ。いきなり目の前で愛する人がいなくなった。俺も母を亡くして暫くは呆然と過ごしていたからよく分かる






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