白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第3章 ★君がために(赤司)★
父『白崎家夫妻が事故で他界した』
嘘だと言って欲しかった。彼女も彼女の両親も、とても優しかった。二度目に会った日には、父に内緒でバスケについて沢山教えてもらった。沢山誉めてもらった。頭を撫でてくれた。抱き締めてくれた。そして、零蘭とこれからも仲良くしてほしい、と願われた
俺にとって、心を安らがせてくれた大切な二人が、事故で他界したなんて、信じられなかった
あの三人のいないパーティーで、また俺の世界は灰色になってしまった
そこからは父の教育が厳しくなり、彼女に会いに行くことができないまま、俺は中学生になろうとしていた
会いに行けない俺を見かねたのか、父はその後の白崎家の情報だけはたまに話してくれた
当主を失った家の代わりに彼女が当主になった事
だが幼さゆえに、彼女の親戚が代理として就いたこと
その親戚は白崎家の財産目当てで、彼女が虐待を受けていた事。その内容は様々だった。中には耳を塞ぎたくなる事もあった。そしてそれが何度もあったこと
その後、彼女が自分でこの家を継ぐ。つまり、代理をたてずに自らが本当の意味での当主になるという宣言をしたこと
使用人達との協力やコネクションなどを駆使して、親戚達との縁を切り、停滞した家の事業を建て直したというのだ。父も協力したらしくその時は驚いた
だが、流石に学校と会社の両立は難しく、やむ無く代理を復元したのだが、今度は信用足る人物、あの朔夜さんが就任したらしい。あくまでも代理、機密関係や時間が空いたときなどは、率先して彼女が勤めているとか
その話を聞いて安心した俺の元に、更に嬉しい話が入った。彼女が俺と同じ帝光中に入学するというのだ。その時は飛び上がりそうなほど歓喜した。また会える、今度はパーティーの時みたいにたまにではなく、毎日会えるのだ
零蘭、今すぐにでも君に会いたい....再会したらまず何と言おうか、どんな話をしようか...
明日は入学式、俺ははやる気持ちを抑えて眠りについた
次の日、俺は車で学校へと送られた。運転手にこれから車で来なくて良いと言ったら、父の名が出た
赤司『父は関係ない。それに毎日これでは笑われてしまうよ。学校くらい俺の好きにさせてくれ』