白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第3章 ★君がために(赤司)★
『どうしたの朔夜?』
朔夜『お話し中申し訳ありませんが、お二人ともそろそろお時間のようです。ご両親がお呼びになっております』
『そっか....分かった。すぐ行くから、後少しだけ話させて』
朔夜『畏まりました。では私は先程の所で待っておりますので』
そう言うと、俺達には会釈し、朔夜さんは戻っていった
いまだに煩い自分の心臓を落ち着かせながら彼女を見やると、頬を真っ赤にして俺から目を背けていた
『あの...//ご、ごめん』
赤司『いや..//俺の方こそ...嫌な思いをさせて悪かった』
『違うよ!嫌とかじゃなくて、寧ろ...っ///』
赤司『寧ろ、なんだ?』
嫌ではないというか彼女の言葉に気を良くした俺は、少し意地悪げに彼女に問う。するとさっきよりも赤みを増した顔で、小さく
『嬉し、かった...///』
思わず抱き締めたかったが、それを抑えながら、代わりに真っ赤な頬に触れるだけのキスを送った
『征十郎っ///!?』
赤司『挨拶だよ...俺達だけの。そして、また会うという約束』
我ながら陳腐な、と思いつつも、それでも後悔はない
『うん、じゃあまた会おうねってことで、私も///』
そっと俺の頬にもキスをしてくれた彼女と笑い合うと、その手を取り、バルコニーを後にした
その後、お互いにそれぞれ挨拶回りを済ませ、俺達は家へと帰っていった。去り際に杏子さんから、
杏子『うちの子に惚れちゃったでしょ?あの子が欲しかったら、もっと、イイ男になってね♪』
と小声で言われた。末恐ろしいなこの人
あの夜から、少し俺の心が救われたのか以前ほどの窮屈さがない。全て彼女のお陰だ...母からも『良い顔になっている』と安心された
俺の心のなかは零蘭で満たされていた。彼女の言葉を思い出しながら、日々の勉強に励んだ
また会いたいと願う俺の気持ちはすぐ叶えられ、再び俺達はパーティーで再会した
会えば、また二人だけのバルコニーで過ごし、挨拶のキスを交わして話をする。ただ幸せな時間だった...
だが、三度目の逢瀬を楽しみにしていた俺の願いは今度は叶わなかった
母が亡くなったその翌年、父から告げられた言葉に俺は耳を疑った