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白い小悪魔は誰のもの?~Another story~

第3章 ★君がために(赤司)★




『うん、私もそう思ってた。征十郎上手そうだからもっと練習する♪あ、でもお家のことももっと勉強する!征十郎が頑張ってるんだから、私も頑張るの!』


赤司『っ....そうか。なら俺も、負けないように頑張らないとな』


『征十郎』


いきなりそっと手を握られ、先程までとは違う大人びた顔つきになった彼女に思わず驚いた。その目は悲しげに細められ俺を見つめている


『無理は、しちゃダメだよ?征十郎、お家の事話してるとき悲しそうだった。話だけでも頑張ってるって伝わったから...だから、あのね?えっと....頑張りすぎないで。また会ったら....私に出来ることは話だけでも聞くことだし。その....』


必死に言葉を紡いで俺を元気づけようとしてくれる健気な姿に、愛おしさが込み上げてくる



小さな手なのに、とても暖かい。まるで俺の心を溶かしていくみたいに....


赤司『なら、俺も同じことを君に願うよ。また会ったら悩みでもなんでも聞かせてほしい。君のために、俺もできることをしたいから』



『うん、ありがとう...嬉しい///』


今日初めて彼女の満面の笑みを見た気がする...まるで俺達を照らすあの月明かりのようだ


その瞬間に俺は幼いながらも気づいた。俺は零蘭に恋をしているのだと。彼女のこの笑顔がもっとみたい、この小さな手の温もりも守りたい。その二つの夕焼けがいつか俺だけに向けてくれたら、一緒に時を過ごせたら....気づけばあとは簡単で、彼女の何もかもに惹かれてしまう


あぁ....この世に運命というものがあるのなら、俺と今日零蘭が会うことは、俺が恋をするのは、運命なのだとはっきりと言える


彼女の手を反対の手で閉じ込めるように包むと、驚いた顔をされたが、またあの顔で笑ってくれた。そのまま彼女に顔を近づける。無意識だった...間近に見える二つの夕焼けが僅かに揺れながらも、ゆっくりと閉じられる。このまま近づけばどうなるか分かっているのに....



赤司『零蘭....』








朔夜『失礼いたします...』


その時カーテン裏からの突然の声に俺達は我に返ると、急いで距離を戻した


幸いその後に朔夜さんが入ってきたので見られることはなかったが、いきなりのことに心臓がバクバクと音をたてていた




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