白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第3章 ★君がために(赤司)★
『周りの子達はね、私と遊んでくれないの』
赤司『どうして?』
『私と遊ぶと、怪我させたときお家が困るから...とか言ってた。征十郎、意味わかる?』
多分その子の親が言ったのだろう。まだ幼い俺達のような年代では完全に理解できるものではない。だが、当時の俺は何となく察した。白崎家のご令嬢に何かあれば、自分達がただではすまないだろう、それを危惧しての事なのだと
だが、幼い彼女はそんな事理解出来るはずもなく、ただ遊びたいだけなのに周りがそれを良しとしない
『遊んでくれるの、幼なじみの子と、近所のお兄ちゃん、だけなの....』
赤司『寂しかったんだな...』
今にも泣いてしまいそうな彼女の頭を撫でてやることしかできない自分に腹が立つ。だけど、彼女は『ありがとう』と小さく微笑んでくれた
あぁ....彼女のために何かしてあげたい、出会ったばかりなのにこんな気持ちになるなんて
『征十郎は、お友達いる?』
赤司『話す子はいる。でも、一緒に遊ぶとかはしない。いつも帰ったらすぐにお稽古事とか、勉強しろって言われるから』
『お父さんに?』
赤司『あぁ...』
そう、あの家の子であるかぎり俺に自由はほぼない。厳しい父からの圧力に背を急かされながら生きる日々。こなすことは苦ではないが、どこか息苦しいと毎日感じていた
赤司『だけど、母がある時俺に与えてくれたんだ。バスケットボールを』
『お母さんが?』
そう、母が俺のためを思って与えてくれたバスケットボール。父も、勝利する限り打ち込むことを許してくれた。新しい世界が開いたみたいで、楽しかった。何より、ゴールを決めたときに傍らで喜んでくれた母の笑顔が忘れられなかった
『征十郎もバスケやってるんだね』
赤司『零蘭も?』
『うん♪私のお父様とお母様は元バスケットボール選手だったんだって。とーっても上手なんだよ♪お仕事もスポーツのお店やってるの。だからね、私もバスケやってみたくて今練習中』
両親の話を嬉しそうにする彼女は、本当に両親が好きなんだな、と思いながら自分とは少し違うとも感じていた
赤司『じゃあ、いつか一緒に出来るといいな』