白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第3章 ★君がために(赤司)★
白崎夫妻との会話に戻った父を横目に、俺と彼女は朔夜と呼ばれた少年に連れられ、屋根付きのバルコニーへと向かった。
外から直接吹き抜ける心地よい夜風と共に、背後から遮光カーテン越しのホールの賑やかさを受けつつ、この僅かに閉鎖された空間に彼女と二人で立っていることに、少しの緊張が走る
俺達を連れてきてくれた朔夜さんは、配慮してくれたのか『何かあればお申し付けを』と一言残し、カーテン裏に待機している
赤司『...名前で呼んでも、いいかな?ほら、君のご家族もいるし...』
『はい...どうぞ///』
赤司『敬語なんて要らないよ、俺達は同い年みたいだから、それに今は俺達二人だけだ』
今思えば、社交界の固いルールに少し反発してみたかっただけなのかもしれない
敬語を外すように言えば、彼女は緊張で伏せていた顔を上げ、『うん...』と少しだけ笑ってくれた
『君の事も、名前で呼んでいい?』
赤司『勿論だ』
『じゃあ....征、十郎』
名前を呼ばれた、ただそれだけの事なのにどうしてこんなにも気分が高揚するんだろうか
赤司『あぁ...零蘭』
『ねぇ、征十郎』
赤司『どうした?』
『えへへ、呼んでみただけ』
先程よりも明るくなった顔で可愛いことを言う彼女に一瞬頭を抱えた。余りにも可愛すぎる
赤司『そうか。あ、零蘭、こっちにおいで。今日は良く星が見えるぞ』
『本当?見たい♪』
自分よりも小さな手を取り、落下防止用のバルコニーの鉄柵辺りまでエスコートする。二人で見上げた夜空には宝石のように散りばめられた数多の星達が、美しく輝いていた
横を見れば、そんな星に目を輝かせながら見つめる彼女の瞳が、キラキラと星を映していた
『綺麗だね』
赤司『あぁ。綺麗だ』
バルコニーに設けられている椅子に二人で腰かけると、『もっと君が知りたい』という俺の望みに答えるように、彼女は自分の話をしてくれた
俺も自身の話を彼女にしていたが、暫くすると話の内容は、互いの悩み等になっていた