第2章 思いは揺れて、重なって。
ある程度頭の中で出来上がってボーッとしていると、ふと頭をよぎる声。
これは、歌詞太郎さんの…
よく通るのに、優しくて温かみのある声。
あの人の声、やっぱり好きだなぁ…
歌詞太郎さんならこんな感じかなぁ、なんて考え出すと止まらなくていいメロディーが次々浮かぶ。
『…よし』
ゆっくりと湯船からでて手早く体を拭いて着替え、彼の、彼だけの曲を作っていく。
すると、いつの間にか夜が明けてカーテンの隙間からは朝日が。
『出来た、かな』
完成したものを聞くと、自然と口角が上がる。
これを歌詞太郎さんが歌った時にどんな声が乗るのか、この曲がどんな表情をしてくれるのか。
それが楽しみで仕方が無い。
ああ、でも、とりあえず今は寝たいかな。
背もたれにしていたベッドに這い上がり、横になって毛布をかけると襲ってくる眠気。
それに逆らうこと無く目を閉じると、あっという間に意識は闇の中へ落ちていった。