第3章 嬉しい秘密
窓から差し込む朝日の眩しさにゆっくりと目を開く。
ふと時計を見れば8時前。
『今日はなにをしようか』
なんて考えても浮かぶのは新しい曲のこと。
昨日の曲をもう少し作り込みたい気もする。
でも、あれがあの曲のベスト…だと思う。
というか、あれ以上いじるとバランスが悪くなってしまいそうな気がしてどうにも出来ない。
『うーん…』
行き詰まったときは体を動かすべし。
お母さんの教えだけど、意外とあってるんだよね。
そうと決まれば、トレーニングウェアに着替えて玄関へと向かう。
靴紐をしっかりと結び直して外へのドアを押し開けた。
朝の空気を胸いっぱいにすいこんで走り出す。
河原を走っていると爽やかな風と共に微かに聞こえる歌声。
これは一体誰のものなのだろう。
風に乗って聞こえる声に耳を澄ませると、自然と体は声の方へと向いていた。