第14章 ドクドクだネ?(シトロン)
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「カントク、色っぽい声出しちゃダメヨ。
………勘違いしちゃうから」
ドクン、と心臓が動いた。
いきなり片言じゃない、正しい発音でそんな言葉を言われて。
慣れてないだけ、具合が悪いから。
そう思いたかった。
「カントク、可愛い。お粥、おかわり欲しいネ?」
「…うん」
「はい、あーんだヨ」
「あ、んっ、…あつッ!?」
「オー!ソーリー!冷ますの忘れてたネ!!!」
「シっ、シトロンくん!」
見惚れてた私も悪い。しょうがない、今日の私は少し変だもん。
熱でなのか、目の前の人の色っぽさでなのか、意識が朦朧とする。
そんな中で、おでこにキスを落とされる。
その後は何事もなかったかのようにシトロンくんの冷えた手を当てられた。
「やっぱり熱いネ。カントク、寝た方が良いヨ」
「まだ大丈夫だよ」
「ダメネ!病人は言う事聞くべきだヨ!」
「………じゃあ、お言葉に甘えて寝ようかな」
「それが良いヨ。カントク、オヤスミだヨ」
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