第14章 ドクドクだネ?(シトロン)
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「カントク〜、具合ダイジョブ?ワタシがカントクの事、逮捕するネ〜。開けてだヨ〜。開けゴマネ〜。」
「介抱の勘違いかな…?開いてるから、入って来て大丈夫だよ」
「オー、ソーリーネ。お邪魔するヨ」
至さんがいないと何を言ってるのかわからない。
本人の前では言わないけど。
ぼーっと、シトロンくんの目を見た。
綺麗なスカイブルーだな。
私の視線に気づいたのか、シトロンくんと目があって、シトロンくんの口元が緩む。
「カントク、具合ダイジョブじゃないネ。キュートな顔でオトコを見つめちゃダメヨ」
「えっ、あ、ごめん」
「もー、ワタシが介抱するんだから、お粥、食べさせるヨ」
「ありがとう、シトロンくん」
お粥をスプーンで掬い、熱を飛ばすように息を掛ける。
それだけなのに色っぽくて、なんだかドキドキする。
あんまり意識して見なかったけど、まつ毛が長くて、本当の王子様みたいな気品。
「ハイ、カントク、あーんしテ」
「え!?恥ずかしい!!!」
「ナニ言ってるネ!あーんだヨ!」
「……あ、あーん……んッ」
ゆっくり、お粥がスプーンを伝って口に入ってくる。
梅味。美味しい。さすが臣くん。
……じゃなくて!!!!
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