第12章 いただけないか(有栖川誉)
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いつもの饒舌な誉さんはどこへやら。
よほど霧坂という人と知り合いだったのが気に入らなかったらしい。
あの霧坂って人も余計な事してくれたな…
私からなんと声を掛けていいのか分からず、やってきたアールグレイを見ながらだんまりしていたら
誉さんがやっと重い口を開いてくれた。
「すまないね、いづみくん。気を遣わせてしまった」
「いえ、そんなんじゃないです」
「女性に気を遣わせてしまうとは、ワタシもまだまだな様だ」
「誉さん…」
「飲み終えたら、早いがココを出よう」
会話があっさりし過ぎて、不安になる。
こんな事で関係が崩れるとも思わないけど、気まずいのは嫌だな。
サッと飲み終えて、会計の為にレジへ向かう。
誉さんはカードのイメージしかないから、小銭を出してる姿は新鮮だな。
「もう帰られるんですね、まだ落ち着いていても良かったのに」
「ご馳走様、また来るよ」
「是非、また2人で」
「……そうだね」
霧坂さんの "2人で" が強調されていて誉さんが籠った。
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