第12章 いただけないか(有栖川誉)
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「なんだい?可愛い顔で見つめられると、流石に困ってしまうねぇ」
「あ、すみません!あまりにも動作が美しかったもので…」
「謝らなくていい。好きな女性にそういってもらえるならそうなんだろう。
あ、お茶なんだが、ワタシが気に入っている喫茶店があってね。そこでもいいかな?」
「もちろんです!じゃあ、とびきりお洒落しなきゃ!」
誉さんはまた大きく笑って、優しく頭を撫でてくれた。
その手が心地よくて目を細めた。
そんな私の顔を見て、誉さんからキスが降ってきた。
「じゃあいづみくん、後で部屋まで迎えに行くよ」
そう言って誉さんはバルコニーを出た。
私も準備しなきゃ……
前のデートで、似合うだろうからあげよう。と誉さんから頂いたブライトピンクのルージュを唇に付けていく。
自惚れじゃなくて、本当に似合う…
誉さんに予想以上に意識して見られてるんだと思ったら凄く恥ずかしいけど、それ以上に嬉しいと思う自分がいる。
私を女の子にしてくれる人だなあ、なんて。
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