第12章 いただけないか(有栖川誉)
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「監督、好き…」
「はいはい、真澄くん。学校行ってらっしゃい」
真澄くんは相変わらずだな…
学生組を送り出し、寮の事をする。
今日は1日オフだし色々お手伝いをしよう。
なんて思っていたんだけど、たまたま自室に戻ったら、テーブルに愛しい人からメモが置いてあった。
『今日、暇ならお茶に行こう。バルコニーで待っているよ』
直接言ってくれれば良いのに、可愛いなあ。
そのメモを見て口元が緩む。
メモをテーブルに置いたまま、愛しい人が待っているであろうバルコニーに向かった。
バルコニーに着くと、愛しい人はいつも通り、本を読みながら紅茶を飲んでいた。
「誉さん、お待たせしました」
「いづみくん、女性を待つのも、紳士の嗜みだからね。今日は大丈夫なのかい?」
「はい!1日オフなので、寮の事をしようかなと思ってましたが、支配人に任せようと思います!誉さんとのお茶の方が大事なので!」
「ハッハッハ!いづみくんは本当に面白いね」
さて、と誉さんは読んでいた本に栞を挟み閉じた。
その動作すら、気品があるというか、色っぽいというか…
あまりにもまじまじと見ていた様で、誉さんが私をみて優しく口角を上げた。
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