第11章 漫画みたいな恋(向坂椋)
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傘に入って、2人で寮を目指す。
椋くんが傘を持ってくれて、歳下なのに、そういうところは男の子だな。なんて思った。
ちゃんと椋くんと並んだ事ってなかったけど、中学生なのにしっかり男の子の身体だ。
…十座くんと従兄弟と言われたら、確かに納得かも。
手も、ゴツゴツと骨ばった、男の人の手。
やばい、意識したら緊張して来た。
余計な事を考えてたら椋くんがいきなり
「………!カントクさん!!」
「え?」
バシャ、っとトラックが水溜りを踏み水が飛んで来た。
私を庇って、椋くんが全部水を受けていた。
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