第10章 モテの定義(七尾太一)
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大人の人…
自惚れて私かなって思ったけど、もしかしたら学校の先生とかかも知れない。
そんなことを考えている間に、また一息ついた太一くんは続ける。
「でね、その好きな人ってのは…まだ教えれないんスけどね!」
いつもの、キラキラした満面の笑みだった。
凄くモヤモヤすると同時に
私、太一くんの事好きなんだ。
そう思った。
この笑顔に気づいたら釘付けだったんだなって。
「…そっか!太一くんが好きな人と結ばれるように祈ってるね!」
口から嘘が出る。
ドロドロした感情とは裏腹に、口から出る言葉は綺麗だ。
高校生の彼はこれから色々な人と出会って、色々な人と付き合う。
私には手の届かない、キラキラしたものだ。
自分の中でケジメをつけた。
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