第10章 モテの定義(七尾太一)
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空気が重い…。
流石に談話室の雰囲気が良くないのでフォローに入る。
「太一くん、今日何かあったの?」
「な、なんでもないッス!ほっといて欲しいッス!」
「……!おい、七尾テメェ!!」
ガタ、っと左京さんが立ち上がって太一くんに突っかかる。
しまったと思ったらしい太一くんは、ごめんなさいッス…と下を向きごにょごにょと呟いて談話室を出て行ってしまった。
「天馬くん…太一くんとクラス違うんだもんね?」
「ああ、だから何があったなんて俺には見当もつかねぇな…」
「うーーん…心配だなあ…」
「ほっとけ、自分で解決すんだろ」
「左京さんよっぽど怒ってんな…」
左京さんが怒る理由は分からなくもないけど、何があったか分からないから太一くんだけを責めるなんて出来ない。
何か聞き出さなきゃ。
「私、太一くん追いかけます!ご飯までには戻りますね!」
「え?あ、監督!?…行っちまった」
「…あいつ、今日飯番なの忘れてねぇよな」
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