第9章 君と乾杯。(有栖川誉)
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「…誉さん、凄い紳士的なんですね」
行為が終わった後の腕枕に、たまに降ってくるキスの雨。
女性からしてみたらグッとくる行動である。
「フフン、ワタシをなめてもらっては困るね!…まあ、好きな女性にかこんな事はしないがね」
「…私の事、いつから気になってたんですか?」
我ながら自惚れてるな、なんて思いながら質問した。
誉さんは目を真ん丸にした後、ハッハッハと笑い、私に答える。
「壊れたサイボーグなんかじゃない、と言われた頃からだと思う。いづみくんにとってはなんて事ない言葉だっただろうが…ワタシは救われた気がしたんだ」
「私も、その頃から誉さんの事気にかけてましたよ」
「全く…君には本当に敵わないな」
まだ、稽古まで時間がかなりある。
気がついたら誉さんからは規則正しい寝息が聞こえる。
私も寝よう。
寝過ごさない様に、アラームをセットして
誉さんの胸の中に入り目を閉じた。
next...?