第9章 君と乾杯。(有栖川誉)
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そんな事は無かったみたいで、誉さんは私からグラスを取り戻しテーブルに置いて、
「わっ…」
「はー…全く、カントクくんは危機感と言うものがないのかね?」
気づいたら目の前には見慣れた天井。
あ、誉さんに押し倒されたんだ。なんて冷静に考える。
「女性はか弱い。抵抗が出来ないんだから、酒を飲んだ後の男を自室に入れてはダメじゃないか?」
「…誉さんになら、何されてもいいです」
本当の事だった。
自分を壊れたサイボーグなんて言う誉さんを、放っておけなくなっていた。
私がそう答えると、誉さんはまた顔が真っ赤になった。
「〜〜〜!!!カントクくん、それは反則だよ…」
「ふふ、誉さん。何してくれるの?」
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