第9章 君と乾杯。(有栖川誉)
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「誉さんも、素直じゃないんですよ」
ただ一言、紬さんが口を開く。
私はその一言を言われてもピンと来ないんですが…
皆がほろ酔いになってきた頃に、ラストオーダーの時間になったので起きてる人の分だけ注文。
…結局密さんと東さんは寝てる。
「ゆっくり飲んで、早く帰りましょう!」
「そうだな、明日からも稽古がある」
「う〜ん素晴らしい詩が出来る気がするのだが…」
「誉さんそればっかりじゃないですか〜!」
この4人で話す事って、無いかも。
なんだか新鮮な気持ち。
少しずつ減っていくお酒。
隣に座っていた誉さんが私に小声で話しかけてきた。
「カントクくん、寮で飲み直したいのだが…一緒にどうだい?」
「あ、いいですよ!じゃあ帰りどこか寄ります?コンビニとかになりますけど…」
「いや、ワタシの部屋にワインがあるからもしそれで良ければ」
「いいですね〜ワイン!」
そんな話をしながら、お酒を減らしていく。
飲む所は談話室だろうから部屋で少し休んでからご一緒しようかな、なんて思いながら。
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