第9章 君と乾杯。(有栖川誉)
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今までの練習の事、お互いにぶつかり合った事なんかを今は笑って話してて、私は凄く安心した。
次の公演も、大丈夫そう。
ふっと笑いが溢れた。それを見た東さんが私の隣に来て話しかけてくれた。
「カントク、どうしたの?可愛い顔で笑って」
「いや、最初の頃はこんな風に冬組が笑ってるのを見られると思わなくて」
「ふふふ、カントクのおかげでもあるんだよ」
いつもみたいに柔らかい顔で笑うな…てか、距離が近い気がする…
「あっ、東さん…?」
「………」
顔が近くなる気がする。
コレは流れで色んなことをされちゃうやつなのでは…!?
お酒が入った頭は変なことばかり考える。
「東さん!眠たいなら、壁に寄りかかっていた方がいいんじゃないのかい?」
誉さんがいつにもなく大きな声で東さんを私から遠ざかる。
助かった…けどやっぱり誉さん、おかしい。
「つ、紬さん…誉さん、様子おかしくないですか?」
近くにいた紬さんにコソっと聞いてみる。
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