第7章 お庭係(月岡紬)
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近くにきて、紬さんを見る。
さっきとはまた違った顔。照れてるのかな?
なんて思いながら、少し疑問に思った事を聞いてみることにした。
「花に何て話し掛けてたんですか?」
「はは、そんなところまで見られてましたか…舞台の台詞です。日課になってしまって」
「台詞ですか!?こんな時まで…」
「こんな時だからこそ、ですかね」
1分1秒、無駄にしたくありませんから。
芯のある、強い言葉。
それからも何回か、私がいても花に台詞を浴びせる。
「…舞台をしてる紬さん、かっこいい」
「カントクにそんな事言われるなんて、光栄です」
さっきまでの不機嫌そうな顔は何処へやら。
凛とした、清々しい顔。
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