第7章 お庭係(月岡紬)
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「そのパーカー…真澄くんの…」
「あ、はい、そうです」
「…………」
「…紬さん?」
紬さんは感情が豊かなのか、すぐにわかる。
多分、機嫌が悪い。というよりは
自分で言うのもあれだけど、ヤキモチ、かな。
「…カントク、着替えましたね。稽古、行きましょう」
明らかに不機嫌モードになってしまった紬さんだけど、稽古に出ればお構い無し。
ただ、丞さんは誤魔化せないみたいで、耳にタコができるほど(私が)注意された。
稽古が終わって、朝ごはんを食べた後、ふと部屋を見渡しても紬さんがいない。
…どこ行ったんだろう。
私が中庭に出ると、いつも通り紬さんが花たちに水を撒き、花の調子を見ながら微笑んでいた。
絵になる人だなあ。
遠くでそっと見守っていたつもりだったけど、紬さんには簡単にバレ、呼ばれて近くに寄る。
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