第6章 ヤクザ時々デレ(古市左京)
.
びっくりして思わず左京さんを押す。
左京さんは見るからに不機嫌になる。
「俺…最高に間、悪いっすね…スミマセン…」
飲み物を飲みにきたらしい太一くんは、左京さんの顔をびくびくしながら覗く。
左京さんは私からサッサとメガネを奪い取り、メガネを掛ける。
「………七尾、忘れろ」
「…俺、なんも見てないっす」
「…それでいい」
場が悪そうに、水を飲んだ太一くんに再度謝られまたリビングに2人になる。
不機嫌そうだった左京さんは自らメガネを取ってテーブルに置き、ソファーに座ってる私の隣に座って肩に頭を置いてきた。
「……左京さん、照れます」
「あぁ?うるせぇ」
また心地のいい時間が流れる。
ふと、左京さんは明日朝早くないのかな、と疑問が浮かんだけど、聞くのをやめた。
「いづみ、部屋行くぞ」
仕事をしてる時の、獲物を逃さない、そんな瞳をしていた。
.