第5章 子供、大人(摂津万里)
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「臣と、左京さんはいいのに、俺はダメ?」
「万里くん、違「何が違うんだよ?」
言葉を遮られた。
万里くんの目から涙が零れた。
掛けられる適切な言葉が出てこない。
そっと近づいて抱きしめる。
嫌そうな素振りは見せないから、今、伝えたい事を言う。
「万里くん、好きだよ」
「………」
万里くんから返事はない。
けど、頭を肩に落としてきたから、多分、大丈夫だと思った。
ズッ、ズッ、と鼻をすする音がするから、ティッシュを差し出す。
鼻をかんだ万里くんは妙にスッキリした顔をしていた。
「……監督ちゃん、好きだ」
「うん」
「子供かもしんねーけど、好きだから抱きたい。ってダメ?」
「…ダメ、じゃないかも」
「っは、何それ」
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