第15章 曇りなきビビリ(皇天馬)
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幸くんが怒った一連の流れがこれだ。
① 天馬くんがいつにもましてうるさい
② うるさい理由を聞いても話したがらない
③ 私との話をしたら逆ギレされた
というのも
「まだなんでしょ、キス」
思わず飲んでいたコーヒーを吹いてしまった。
幸くんは呆れながら拭くのを手伝ってくれたのだけど、
「ど、どこでそれを…」
「いや、天馬見てればわかる。
天馬チキンじゃん、ビビリだし。だから俺から監督にお願い、天馬にしてあげてよ」
これを中学生が言っているセリフだなんて思えない。
今の中学生はこんな事をサラッと言えてしまうのか。
急に、幸くんの顔が接近してきた。
「俺が練習相手になってもいいけ「おい幸!!監督から離れろ!!!!」
「なにさ、良いところだったのに」
「はあ!?どこがだよ!中学生がませてるんじゃねえよ」
「はいはい、邪魔だからどっか行きなよ。ついでに監督も」
「私も!?」
見たいテレビがあったらしい幸くんに
半強制的に談話室を追い出されてしまった。
気まずい沈黙が私たち2人を纏う。
「なあ、監督……監督の部屋、ダメか?」
思ったよりも、幸くんの攻撃は効いていたのかもしれない。
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