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擬人カレシ~白兎・三人目の生徒編◆裏◆~

第6章 好きだから-あなたの心に届きますように-


でも佐奈は僕から離れようとしなくて、逆に必死にしがみついてきた。

「い…から…っ」
「え?」
「瑠衣の…好きに…して…?」
「佐奈…でも……」

それじゃ、佐奈が辛いんじゃ…って言いかけた僕に初めて、佐奈から僕に、キスをした。
目を見開く僕に、佐奈が笑った。

「だ…って、やっと…私…っ、るいに…好きって言えたんだも……っ。」

それに、痛くて苦しいとか、そういうんじゃないから、って、佐奈は乱れた息の中で伝えてくれた。
そうじゃ、なくて……。

「佐奈……?」

恥ずかしくて言えない、っていうより、佐奈はそれ以上は言いたくないみたいで。
僕は一瞬不思議だったけど。
その拍子、僕がちょっと動いちゃった瞬間、

「ぁあんっ」

びっくりするくらい甘い佐奈の声が響いて、僕は驚きながら、けど理解した。
そっか。
そういうこと…だったんだ。
苦痛じゃなくて、感じすぎちゃって『辛い』んだ。
それって、僕と同じってことだよね。
でも佐奈は、恥ずかしがって、言えなかったみたいだけど。
今ので僕にも、ちゃんと分かったよ。

「佐奈……」

こつ、って額を合わせたら、佐奈が恥ずかしそうに笑ってくれた。

「大好き…瑠衣……」

伝わってくる、佐奈の言葉と気持ちに、僕は胸がいっぱいになる。
昨日まで、ごめん。
あんなことしちゃって、ごめん。
無理矢理、抱いて…ごめん。
嬉しいのと、言葉にならない、どうしようもない気持ちがぐちゃぐちゃに混ざり合って、気が付いたら、僕の目から涙が零れてた。

「瑠衣……」

佐奈の手が、僕の涙に触れてくれる。
僕がしてしまったことは、なかったことにはできないけど。
これからは絶対、佐奈を悲しませたりしないから。
傷つけたりなんて、しないから。

自分に誓う気持ちで、僕の涙で濡れた佐奈の指先に、ちゅ、とキスをして、それから、佐奈を…佐奈がそうしてくれているように、抱きしめた。
二人…ぴったり密着する。
一瞬、少しだけ開いた隙間に目が合って、それだけで、今の僕たちにはきっと、十分だった。
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