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擬人カレシ~白兎・三人目の生徒編◆裏◆~

第1章 好きだから-罠-


そして、そこでまた思い知らされる。
僕はまだ、佐奈ちゃんより背が低い。
隣に立てば、ほんのちょっとだけど、見上げるようにしなきゃいけない。
ほんの少し…だけど、どんなに僅かでもこれが気に入らない。
背だけじゃない、体が小さいこと、華奢なこと。
煉や厳を見れば違いなんて嫌になるほど思い知らされる。

それに…二番目に嫌なのは、自分の声だ。
成体になればそれも変わるって知ってるけど、今のこの、高い声が子供っぽくて我ながら大嫌いだった。
だけど…物は考えようだ。
小さな自分も、声の高い自分も本当は嫌でしょうがないけど、今すぐどうにもできないなら、逆手に取ってやる。

人間年齢にすれば、今の僕は二十歳ちょっと前くらい。
成人じゃないけど、完全な子供でもない。
だけどこの小さい体と、男らしくない声が、佐奈ちゃんに僕を子ども扱いさせるから。
今しかできないことを最大限に利用しまくってやる。

ただの先生じゃなくて、佐奈ちゃんを一人の女性として自分だけのものにしたいと想うようになってから、どうしたら願いが叶うだろうって考えた。

誰にも渡さない。
彼女に触れるのは僕だけで良い。
その代わり、僕も佐奈ちゃん以外なんていらないから。

だけど、ここには煉も厳もいる。
二人とも佐奈ちゃんを気に入ってる…っていうより、狙ってるのは丸分かりだ。
犬と狼。
種としての力強さも、擬人化した姿での体格差も、全部あっちが上だ。
だけど嫌だ。
これだけは絶対に譲らない。
渡さない。

僕は僕だけにある武器を駆使して佐奈ちゃんを手に入れてやる。
佐奈ちゃんにとっての僕がまだ『子供』だっていうなら、それを利用してみせる。
煉や厳には絶対できないことをしてのけて、佐奈ちゃんの僕への警戒心を、もうすぐゼロにしてやるから。
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