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擬人カレシ~白兎・三人目の生徒編◆裏◆~

第5章 好きだから-転化~もう遅いかもしれないけど-


だってあんまり予想外で嬉しすぎて。
どうしても顔が緩んじゃうよ。
いけないって思うのに嬉しくて、どうしようもない。
佐奈は真面目で責任感が強くて、自分がしっかりしなきゃって結構いつも思ってるとこがあって。
だから生徒と恋愛関係…なんて、きっと想像もしなかったんだろうし、そんなのは良くないとか思ってるんだろうなっていうのも、何となく感じてた。
でも。

「先生と生徒が恋人同士になったって話、時々聞くよ?」

そういうこともあるんだね、なんて、前にも話したことがあったし、それは佐奈も知ってるって言ってた。
擬人研究所も黙認してるらしいって、そう言ってたのは佐奈だ。
けど佐奈自身は良くないって、やっぱり思ってたんだね。
何か佐奈らしいな、なんて納得する僕に、佐奈は、僕が想像してたとおりのことを言った。

「先生と生徒の…そういう関係を、研究所も黙認してるって知ってるけど、私は…良くないかもって思ってた」

だから、自分の生徒をそういう目で見たことなんてなかったのにって、佐奈は一度言い切って。
それから俯いちゃったのが、こういう場面で不謹慎ってやつかもしれないけど、でもすごく可愛い。
佐奈の気持ちや考えが、今ならよく分かるし、僕達のことを考えてくれてるんだなって思うと、それはそれですごく嬉しい。
だけどね、佐奈……。

「佐奈がいてくれたら、それだけで、僕は……」

言いながら、僕はいつの間にか震えの止まった体で、佐奈を抱きしめたままベッドに倒れこんだ。

「……ゃっ!?」

びっくりした佐奈が声を上げるけど、その間に、僕はしっかり彼女を組み敷く。
佐奈の両脇に腕をついて、少しだけ距離をあけながら、顔を見下ろした。

「好きだよ佐奈。前からずっと好きだったんだ。今も…これからも…ずっとずっと……」

だからって自分のしたことを言い訳する気はない。
けど、好きだからって、あんなことして良いなんて思ってもいない。
いない…けど……。
佐奈がさっき、言ってくれたから……。

「好きなんだ…好きなんだよ、佐奈……」

『大好き!』なんて子供っぽく抱きついてた頃なんかと違う。
あの頃とは違う『好き』なんだ。
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