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擬人カレシ~白兎・三人目の生徒編◆裏◆~

第4章 好きだから-貪食-


「まさか……」

また零れた声は、自分のものなのに、妙に聞きなれない低い声。
まるで……。

「男みたい」

いや、男なんだけどさ。
だから佐奈のことだって…我慢できなくて色々あんなこと、しちゃったりしたんだけど……。
僕は、自分の体を見下ろした。
今の今まで気が付かなかったけど、そういえば、昨日までより床が遠い。
ってことは、背も伸びたんだ。

手も何だか…煉や厳みたいに、ごつごつしてる。
腕も足も…長くて大きくなってるのが分かるし。
胸板も…体全部が、昨日までの僕とは違ってる。
成体前に擬人化した獣は、ある日突然、成体に変化することがあるって研究所の授業で聞いた。
だから前兆を感じたら、街中でいきなり成体になったりしないよう注意するように、とか、そんなことも言われたけど。

「前兆……?」

そんなものあったっけ?
考えて、僕はちょっとだけ思い当たった。

「そっか。そういうことだったのかな」

そういえば、最初に比べて楽に佐奈を抱いて歩けるようになってた。
毎日抱き上げてるから、いつの間にか慣れたのかな、くらいに思ってたけど、あれがもしかしたらそうだったのかもしれない。
前兆っていうには、かなり分かりにくいけど。

でも家の中で成体になったのは、まあ、良かったのかもしれないな。
そんなことを考えながら、裸のままの自分をまじまじ見下ろしてた僕は、だから、気が付かなかった。
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