• テキストサイズ

擬人カレシ~白兎・三人目の生徒編◆裏◆~

第3章 好きだから-食悦-


「る…い?…っ」

ちゃんと目が覚めれば、佐奈がどんな反応するかも分かってたから。

「ごめんね」
「る……」
「けど僕、もう止まらないから」
「………っ」

佐奈の返事を待っても無駄って知ってる。
拒絶されるなんて、ハナから知ってるんだ。
だから昨夜、強引に手に入れたんだから。
昨日みたいに、佐奈は僕から逃げようとする。
だけど今の佐奈には昨日ほど暴れる力は残ってなくて、僕は有無を言わさずバスルームに運んだ。
先に朝食をここに運ぼうかとも思ったけど、べたべたして気持ち悪いって佐奈が一瞬呟いたのを、僕は聞き逃さなかった。

お湯をはったバスタブに佐奈をそっと下ろして、僕はその間に大変なことになってるベッドをとりあえずどうにかする。
それからバスルームに佐奈を迎えに行って、佐奈をバスローブでくるんでリビングに戻った。
もちろん嫌がられたし抵抗されたけど、何されたって…たとえ噛みつかれたって、僕は佐奈を離さない。
でも…やっぱり、佐奈の涙には、僕はどうしても弱い。
それでも昨夜は構わずに彼女を抱いたけど、こうやって普通にリビングにいる状態で泣かれると……。

「佐奈……」

僕を責めるわけじゃなく、ぽろぽろと涙をこぼすのが、余計辛い。
けど。

「どうして…どうして……?」

昨夜も聞いた言葉をもう一度聞いて、僕は自分の腕に爪を立てた。
一方的なのも、僕の身勝手も分かってる。
だけど…だけどさ。

「それ…また聞くんだ?」

『好きなんだ』って言った。
一度だけじゃない。
佐奈を抱いてる間中、何度も何度も何度も。
もう数え切れないくらい……。

『佐奈…好きだ、好きだ…好きなんだっ』
『好きだよ、佐奈…好きだ……っ』
『好きだ…佐奈、佐奈……。愛してる。好きなんだ…っ』

繰り返し、繰り返し、そんなことを山ほど口走ってた。
届くまで…届かなくたって、何度でも。
それとも、僕に無理矢理抱かれてる最中じゃ、そんな言葉なんて何も聞こえなかったってこと?
ねえ、そういうこと?

「好きだから…だよ」

覚えてなくたって、それでも良い。
/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp