第6章 the act of walking on a road
『お前っ。 よっ、じゃねーだろ。
いきなり出て行って。 お前何考えて
るんだ。』
そう言って兄貴は俺の胸ぐらを掴んでくる。
『…まぁ兄ちゃん。 離して。
別に 何、考えてるもないよ。 俺は、
医者になるつもりもない。
ただそれだけの話だろ……。
けどあの
家にいたらそんなわけにいかないし
何もさせてはもらえないだろう…』
俺は、兄貴の手を払うとふうと
息を吐いて席についた。
『そんなこと言って、和也がやりたかった
ことがこれなのか?
別に医者にならなくったって家にいれば
一流企業にだって就職することだって
出来る。
ホストなんて、低俗な仕事……』