第3章 Wrap up the chocolate.
『親御さんとは
全く連絡取ってないのか?』
ある日
俺が聞いてみると、二宮は黙っていたが
しばらくするとコクリと頷いた。
『父親には殴られてそのまま出て
きたし
兄たちもみんな仕事していたので
誰もいない間に出てきたので……。』
そう言って二宮はまた黙って唇を
キュッとかみしめた。
俺も本人も話たがらない
なら、別に無理して聞きだすことも
ないと思った。
ただ、いいところの子だったんだろう
なというのは
一緒に居て時々の所作に出ていたし
きっと、今も家族は懸命に探している
に違いない……。