第1章 恋は黄昏と共に
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おねーさんと知り合って早一月…。
見覚えのある後ろ姿を発見し、背後からポンと肩を叩く。
「そこの可愛い彼女〜、まーた絵描いてんのー?」
「あ、おそ松くん!」
ある日、軍資金を支給された俺は、パチンコに行こうとしていたカラ松と十四松に便乗して歩いていた。
そしたらまた、河川敷の橋の真ん中にいた〇〇ちゃんと出くわしたってワケ。
なんでお互い名前を知ってるかというと、見かける度話しかけまくったから。
どうやら、土曜か日曜の昼過ぎから夕方にかけて橋の上に来て、ずっと絵を描いているみたいだ。
「へぇ…六つ子って聞いてたけど本当にそっくり」
「おそ松、このアーティストガールは?」
「あぁ、この子は——」
なんて紹介するほどの仲でもねーけど、名前は〇〇ちゃんで、趣味で水彩画をやってるってのを簡単に紹介し、そのままカラ松と十四松も〇〇ちゃんに紹介した。
「〇〇ちゃんてゆーんだ!よろしくねー!」
「よろしく十四松くん」
「まさかおそ松にこんな知り合いがいるとは…。運命は悪戯好きだぜ」
「え?今何て言ったんですか?」
「あぁ、今のは発作的な何かだから気にしないで流しちゃって」
俺の発言に対し「んー?」と疑問符を浮かべ、スルーされた理由を分かってないイタイ次男は、〇〇ちゃんの画用紙を覗き込んだ。
「これはシャイニングリバー…だな?」
「あ、大まかな下絵しか描いてないのによく分かったね」
へぇ、川だったんだ。てっきり地面だと思ってた。俺って絵心ねーのかな。
「こっちはビッグストーン…だろ?」
「それは樹です」
「…なるほど…フフーン!」
ダッセ。フフーンで誤魔化してやがる。
ついにお決まりのサングラスをかけたカラ松の隣では、目を爛々と輝かせた十四松が余った袖をプロペラのようにぶん回して手を挙げた。
「はいはいはーい!ぼく分かるよー!これは鳥、この隅っこのは散歩してる犬ー!」
「当たりー!スゴイね十四松くん!」
あー、いいなぁ十四松。俺も褒められたーい。