第1章 恋は黄昏と共に
「そういえば、赤塚先生の写真の隣に飾ってある赤い桜の絵、あれって誰の?」
「…おれじゃない」
「ボクも知らなーい」
カラ松と十四松は、察したのか何も言わなかった。
ったく、絶妙なタイミングで思い出しやがって。そんなんだから童貞でシコ松でライジングなんだよお前は。
「赤じゃなくて夕日だから。芸術性の欠片もねぇゴミだなお前は!」
「なんだよゴミって。夕日でもなんでも赤は赤だろ。…ってことはあの絵って…」
「…俺のだよ。通りすがりのオッさんに貰ったの」
余計な詮索をされたくなかったから盛大に嘘をつく。
「え?オッさんに貰った絵飾ってたの?ご利益あるとか言われて買わされたとかじゃないよね?」
「うるっせーなシコシコと!貰ったっつってんだろ!」
「シコシコはしてねーだろ!」
「ちょっとやめて!二人とも!」
険悪ムード全開な俺とチョロ松の間に、トド松が割って入ってきた。
「もう、せっかく桜がかわいーく咲いてるんだから不毛な喧嘩しないで!桜さん困っちゃうでしょ?ねー桜さんっ」
「いや何言ってんの」
チョロ松の冷ややかなツッコミを無視し、桜にウットリと顔を綻ばせる女子が隣にいる。
そして早速SNSにあげている。