第3章 勉強
「ふんっ!本当のことじゃない」
プルルルルル…。
「私の携帯だ」
プチッ
「はいー?」
《ゆり。柚子絵だよ。話したいことがあるんだけど、いいかな?》
「お姉ちゃん?どうしたの?」
《あのね、実はさ、今日…彼氏ができて…》
「えぇぇぇぇ!?」
《ちょっと、落ち着いて聞いて。それでね、彼氏が二人だけで暮らしたいって言ってくれて。それで…もしゆりがいいなら、ゆりに、一人暮らししてもらおうと思うんだ》
え………?
嘘、だよね?
でも…………わがままばっかり言ってられないよね。お姉ちゃんに…幸せになってほしい。
「別に……いいよ?だっ、て、さ…お姉ちゃんに…し、あわせに…なってほしい…し」
どうして?嬉しいはずだよね?私。なんで泣いてるの?意味わからない。
《ゆり…?ごめん。泣いてる…?》
「泣いてないよっ!それで…いつ行くの?」
《今から…なんだけど。》
「あぁ、そっか!そうだね。行ってらっしゃい」
《ごめん…毎年毎年仕事で忙しくて誕生日祝ってあげられなくて、今年こそ二人で過ごそうって約束したのに…今年も一人…なんだね。ごめんね》
「っ……!…だ、大丈夫っ!」
《それじゃあ、ご飯はつくってるから。》
プチッ
「おーい?ゆりは!どうしたんだよ?てか、なんで泣いてんだ?」
「雄ちゃん……。雄ちゃん!雄ちゃん!」
「ちょっ!ゆりは!なんだよ?急に抱きついていて」
「あたし…今年も、一人みたい。えへへ」
心配かけちゃいけない。笑顔で、笑顔で…。
「ゆりは。やめろ。お前の作り笑いは何度も見てきたからわかる。泣きたいなら、俺の胸で泣け」
「雄…ちゃん。」
ダメだ…やっぱ雄ちゃんにはかなわないな
「なんだよ?また姉さん仕事か?」
「ううん。これから毎日一人になるみたい」
「それって…ゆりは一人暮らしするのか?」
「うん…お姉ちゃん彼氏さんと住むらしいよ?でも、幸せならそれでいいって私がオッケーしたことだからね。それでね、今度の誕生日さ…」
「ごめん。ゆりは。俺、その日はサッカー部の合宿でよ。ごめんな」
「そっか…じゃあ、岬は?」
「ごめん!!私もその日は彼氏のお父さんお母さんに会いに行くんだ…」
そう…だよね。