第2章 放課後
「ねぇ………鬼怒川って……………やっぱ、なんでもない。」
私は「鬼怒川って私のこと好きなの?」とききたかった。でも……やっぱり聞くのが怖い。なんでだろう?胸がトクトクする。
「あっ、私、家ここだから!!あ、ありがとね」
笑顔のつもりだった。苦笑いに見えてるなんて、全然思わなかった…。
「おう…。明日…迎えに来るからな」
「えっ?あ……うん。わかった」
なんだろう。今日の朝と全然違う。特にあいつの態度とか、私の態度とか……………。
「ただいまー」
「あ、ゆり。お帰り」
この人は私のお姉ちゃんの山蕗柚子絵(ヤマブキユズエ)、社会人で、私とお姉ちゃんの二人暮らし。お姉ちゃんは、私のことを「ゆり」と呼ぶ。
「あ、うん。ご飯できてる?」
「うん。できてるわよ。あとね、今日の夜は会社の人たちに飲みにいかないかって言われてるから、帰り遅くなるの。先に寝ててね」
「え?うん」
自由気ままな姉を、たまにいいなぁと思う。
お姉ちゃんは「自由じゃない」って言うけど。
「あー、それとそれとぉ、拓也がもうすぐ家に来るから。相手しててあげてくれる??」
園拓也(ソノタクヤ)。お姉ちゃんの男友達。お姉ちゃんには別に用はないけど遊びに来るらしい。でも、お姉ちゃんはあいにく飲み会、私
に相手しろ。ってわけね
「うん!いいよ。拓也さん嫌いじゃないし」
これは本音。別に男としゃべるのは得意だし。口喧嘩だって私が絶対勝つ。それに拓也さんは意外と優しいし
「本当??ありがとね」