第9章 自分の気持ち
「悪い……」
一言告げ、再び強く力を込めて抱きしめてくれる薬研
私は薬研の身体の体温を感じながら泣きじゃくった
『バカ……もう、会えないんじゃないかって…思った……』
「……もう、会えなくていいと思った…」
『え?』
私は薬研の言葉に身体を離せば見つめた
「……俺は、名前の事が好きだ。けど、もう名前の傍には居られなくなった……それなら、もうアンタの姿を見ない方が、少しは楽になれるのかもってな……。けど、結局ココに戻ってきちまった…ここに居れば、また名前が俺を見つけてくれるかも……なんて期待しながら……」
『薬研……』
「そしたら、本当に見つけてくれたな…こんなの、アンタが許してくれるなんて思ってねぇけど……また俺のこと拾ってくれよ…。名前が拾ってくれなくても、俺はずっと…ここに居るからよ」
そう言って、薬研は私の頬を撫でてくれる
そんな薬研を私は再び強く抱きしめた
『薬研……ごめんねっ…、薬研の気持ち無視して…追い出す様なことしてっ…薬研は帰りたくなかったのにっ…勝手に、薬研が家に帰ったら幸せに暮らせるなんて……思っちゃって……』
自分したことに、薬研を苦しめてしまったと思い更に涙が溢れてくる