第9章 自分の気持ち
『……一期、さん…?』
玄関を開ければ薬研ではなく、兄である一期が立っていた
「何度もすみません……薬研のこと、説得してくれましたか?」
『え?薬研はもう……帰りましたよ…?』
その言葉に困った顔をする一期
「薬研は帰ってきてませんが…」
一期の言葉に、私は一気に顔を青くした
『え……それって…』
「また何処かに逃げたんでしょうか…って、貴女……っ!?」
私は一期の言葉を聞いた途端、その場から走り出していた
薬研が居なくなったと聞いて、いてもたっても居られなくなった
取り残された一期は、名前の様子にクスッと笑った
「……相当、薬研の事が好きなのですな…あの方は。やはり、薬研はここに居た方が幸せ…と言うことか…」
一期はポケットから紙とペンを取り出せば、二人に宛てた手紙を書けば玄関のポストへと挟んで自宅へと帰宅した