第9章 自分の気持ち
薬研が出ていってから、私は泣き続けた
そして数時間後、やっと涙が止まった
『……薬研、ちゃんと帰れたのかな…』
窓の外を見れば、日も暮れて薄暗くなっていた
ずっと泣いていたが、涙は枯れることを知らない
薬研を思い出せば再びじんわりと涙が出てしまう
涙を断ち切って、洗面所に来て鏡で顔を見れば泣いたせいで目が赤く腫れていた
『はぁ……腫れてる……』
気分を変えるために、水を出せば顔を洗った
そしてタオルで拭えば、再びリビングに戻る
すると、ソファーに薬研の忘れ物であるシャツが置いてあった
『これ……薬研の……』
私は無意識に、薬研のシャツをぎゅっと抱きしめた
いつも近くにいた薬研の香りに少しだけ安心した
そんな中、再びチャイムが鳴った
『……!』
そのチャイムに、薬研かという期待を抱き慌てて玄関を開けた
『薬研……!』