第8章 君の幸せを願って
「…………っ、アンタが俺に出ていってほしいなら、出ていくぜ…」
俯いて、消えてしまいそうな声
寂しいのは今だけ…ずっと一緒に生活してたから名残惜しいだけ……薬研だって、自宅に帰って兄弟とまた楽しく暮らせば…きっと私のことなんて忘れちゃうから……
『うん、兄弟の事…大事にしてあげて…、っ…!』
その途端、いきなり薬研に荒く押し倒され床に押さえつけられる
「本当に、思ってんのかよ…なら、ちゃんと俺の目を見て言えよ…!なぁ…心の底から、俺のこと、邪魔だって……言ってくれよ…!」
『っ……痛いよっ……!』
押さえつけられる手首に痛みが走る
自然と涙が溢れてくるが、これが痛みの涙なのか、薬研と離れたくないと訴えるものなのか…ぐちゃぐちゃしていてわからない
『薬研っ……離してっ……痛いよ…っ』
溢れる涙は止まることを知らない
その様子に薬研は力なく離れれば、荷物を持って立ち上がった