第8章 君の幸せを願って
部屋に戻れば、薬研はソファーに腰掛けて俯いていた
私はそっと隣に座れば、薬研を見つめ声をかける
『薬研…自宅に帰ったら…?』
「!なんだよ、いきなり……」
私の言葉に目を見開きバッとこちらを見てくる薬研
その顔は信じられないと言ったような顔をしていた
『みんな、家で薬研の事…待ってるって……』
「っ……でも……」
その言葉に薬研は再び俯いた
『兄弟を大事にしてあげて…?お兄さんも、薬研が必要だって言ってたよ…?』
「……アンタは…俺に出ていってほしいのか…?」
どこか寂しそうな眼差しでこちらを見てくる薬研
やめて、そんな顔で見ないで……
「なぁ、名前…」
『……そう、だね…そろそろ帰ってほしい、かも』
「……!」
私の言葉に息が止まったような表情を浮かべる薬研
口から出た言葉は、嘘
本当は…ずっと薬研と居たい……
でも、親族が薬研を求めてる…だから私に、それを拒む権利なんて、どこにもないから……