第8章 君の幸せを願って
「貴女からも、薬研に帰るように説得してくれませんか?薬研が居なくて、弟達もとても寂しがっていて……やはり私達兄弟には薬研の存在が必要なのです…」
必死な面持ちで、私に頼み込んでくる一期一振
その様子に、薬研は大切な存在なんだと内心で思い、やっぱり返してあげなきゃいけないのかな…なんて思ってしまう
『薬研は……自宅に帰って、幸せになれますか?』
「ええ、もちろん。以前のように、楽しく暮らします…だから、貴女から説得してほしいのです…お願い致します…」
一期は頭を下げながら私にお願いをしてくる
その様子に、私は断ることが出来なかった
『……わかりました…』
薬研が幸せになれるなら、早く返してあげなきゃ……ね。
「!ありがとうございます…!では、私はこの辺で……失礼します」
嬉しそうな顔をした一期の顔が脳内にこびり付いた
そして一期はそのまま帰っていった