第8章 君の幸せを願って
「薬研、やっぱりここに居たんだね」
「なんで、ここが…?」
「昨日、二人が歩いているのを見かけてね。それで、薬研を連れ戻しに来たんだよ」
一期は優しい笑みを浮かべながら薬研に手を伸ばす
その手を薬研は振り払った
「俺は帰らねぇ…ずっと」
「薬研。この人に迷惑がかかるだろう?早く帰ろう、みんな待ってるよ」
一期は薬研を決して怒らず優しく説得する
「……悪い、いち兄。帰ってくれ」
そう言い残して、薬研は部屋の奥に入っていってしまった
その様子に、一期は小さくため息をした
「はぁ、すみません……弟が迷惑を」
『え、あ……いえ、全然……』
私は少し俯き加減で一期に言葉を返す
すると一期は私に目線を合わせて言葉を続けた