第8章 君の幸せを願って
「すみません、いきなり……」
その男性は申し訳無さそうに私に謝ってきた
私はなんだろうと疑問を抱きながら首を傾げた
『…どちら様ですか?』
「申し遅れました…私は一期一振と言います。ここに、私の弟である薬研藤四郎が来ていますよね?」
『え……?』
弟ってことは……この人、薬研の兄……?
そう考えれば、嫌な汗が出た
「居ますよね?」
『えっと……その……』
これは素直に居ますと言っていいものか……嘘をついて居ませんと言った方がいいのか、究極の選択にかけられた
すると、なかなか戻らない私を不審に思い薬研が玄関まで出てきた
「名前、どうした?……って、いち兄……?」
薬研は、一期を見ればすごく嫌そうな顔をした