第6章 薬研のこと
それを察したのか、薬研は苦い顔をしながら口を開いた
「……俺な、今日…自分の自宅に行ってきたんだ」
『えっ……!?』
まだ何も言っていないのに、自ら話を勧めてくる薬研に私はすごく驚いた
そんな私をお構い無しに薬研は苦笑いをしたまま話してくれた
「俺は、兄弟が居るんだ…でも、暫く前に絶縁になりそうなくらいの大喧嘩しちまって…それで家出をしたってゆうか…な」
『大喧嘩…?原因とかあったの…?』
あまり薬研の気に触らないように、私は控えめに尋ねた
「まぁ、良くある意見のすれ違いって奴だな…。その喧嘩した兄貴に昼間、荷物取りに行ったら出くわしちまって……それで、なんかわからねぇけどモヤモヤしてて…名前に八つ当たりしちまった……本当にすまん」
薬研は軽く私に頭を下げながら謝ってくる
その姿に私は焦り手振りしながら否定した
「な、薬研は悪くないよ…!だから気にしないで?」